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ブラジルにおける外航貨物保険の求償 – 実務的ガイダンス

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このたび、Steamship Mutualのブラジル駐在コレスポンデントである Representacoes Proinde社が、詳細で有用なガイダンス(Guide to cargo claims in Brazil)を発行しました。同社代表取締役社長の Ricardo Martins氏の説明は以下のとおりです:

 

ブラジルは世界で5番目に大きく、5番目に人口の多い国です。動物性タンパク質や各種工業製品に加えて、多くの鉱物および農産物の主要生産国であり、それらの輸出国でもあります。貿易品の90%以上は、大西洋に沿って広がる7,500キロメートルの海岸線にある数百の港を経由しています。

 

近年、ブラジルの港は毎年10億トン以上の海上貨物を取り扱っており、このうちの約80%は主に中国、EU、米国、および南米共同市場に出荷されています。海上輸送される大量の貨物にもかかわらず、ブラジルの船隊が占めるシェアはわずか3%です。

 

ブラジルは本質的に貨物所有国でありながら、その市民社会と立法府は運送業者の責任制限と防御を提供する物品運送に関する国際条約を採用することについて、長年にわたりほとんどまたは全く関心を示してきませんでした。その代わりにブラジルは国内法を適用しますが、これは(国際条約等とは)対照的に、海上運送業者に対する免責がより少なくなっています。

 

(世界中の)ほとんどの地域では、貨物の賠償請求は、事実が紛争の結果を決定するという、よく知られた一連の規則に従って処理されます。しかし、ブラジルでの貨物の賠償請求は、複雑な法的枠組みと、法律上の特定の争点における確実性の欠如のために、複雑な作業になる可能性があります。また、ブラジルの司法制度は、非効率性と遅さで知られており、多くの異議申し立ての後に最終的な判断に達するには何年もかかる紛争があります。加えてインフレと利息の実質的な調整を図る追加請求のインデックス化の影響もあり、ブラジルの裁判所で請求を解決しようとする意欲は削がれる傾向にあります。

 

近年、民事訴訟手続法や、有力な判例を整理した法改正が行われた結果、代替紛争解決方法を採用する動きもみられますが、訴訟には依然として費用と時間がかかります。ブラジルの法制度の気まぐれさに慣れていない外国の運送業者や保険会社には、依然として懸念が残り、賠償請求への対応方法を決定する前に関連するリスクを合理的に評価することは難しいと感じるかもしれません。

 

さまざまな外航貨物賠償請求を扱ったほぼ半世紀の実務経験を踏まえ、クライアントからよく寄せられる質問に応えるべく添付のガイダンスを作成しました。このガイダンスでは、適用される貨物賠償責任制度、契約、時効、免責と責任制限、訴訟手続き、ADR、仲裁、保証金の支払い、請求権の放棄の手順までご案内しています。

 

このガイダンスは法律上のアドバイスに代わるものではありませんが、クライアントやアソシエイトの皆様に、実用的な情報としてご参考にしていただき、お役にたてればと祈っています。また、Proinde社のWebサイトで最新版をご提供できるようにしていきます。

 

今回のProinde社によるガイダンスへは、こちらのスティームシップのウェブサイトまたは専用モバイルアプリからアクセスできます: https://proinde.com.br/wp-content/uploads/2020/01/PROINDE-Cargo-claims-in-Brazil-Practical-Guidance-21-01-2020.pdf

 

今回の記事を作成頂いた Proinde社に感謝をこめて

 

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PROINDE-Cargo-claims-in-Brazil-Practical-Guidance-21-01-2020 (1.03 MB)