03 2021
契約交渉の際使われる、日本語で主に「~を条件として」という意となる”subject”または”sub”という文言については、”subject”が処理されるまで、拘束力のある契約には至らないというのが一般的な理解とされています。”subject”は契約締結の前提条件とされることが多いですが、必ずしもそうではなく、例えば”subject”が実行された際に契約が発効したことを意味する実行条件である場合もあります。
上記を取り上げた英国での判例として、2020年7月の” The Leonidas [2020] EWHC 1986 (Comm)”があります。
本日本語訳ではポイントのみ紹介しますが、以下英語原文では、判例における原告の訴訟に至るまでの経緯、前提条件と実行条件の判断基準など詳細を解説しております。
【ポイント】
この訴訟は、用船契約のドラフト作成時または締結時に”subject”に合意する契約当事者にとって、”subject”の解釈が前提条件となるか実行条件となるかについて、契約前に注意深く見る必要性を喚起しています。
前提条件の場合、その条件に至らない場合は、そもそも拘束力のある契約がなくなることを意味する可能性があります。 実行条件の場合は、必要な条件に至るまでに合理的な措置を講じる義務がある可能性を含んでおり、そのような措置を講じなかった場合、契約上の責任が発生する場合があります。
契約当事者は、意図していない限りは、思わぬ結果で契約を拘束し契約上の責任が発生しないためにも、不用意に前提条件を放棄しないようにする必要があります。
尚、当クラブでは、本トピックを扱った関連のニュースを以下にて発行しております。ご興味のある方はご参照ください。
News Title: Fixtures "Subject to Details" - English Courts Provide Further Guidance
https://www.steamshipmutual.com/publications/Articles/Articles/subject_to_details.asp
News Title: London Arbitration - Misdescription and "Subject to Details"
https://www.steamshipmutual.com/publications/Articles/SubjectDetails0107.asp