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密航者のイタリアにおける国際保護事例について

03 2021

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イタリア、ジェノアの当クラブコレスポンデントStudio Legale Mordigliaから、イタリアの港に寄港した船に乗っていた密航者に関連して、船主の支援をした事例につき以下のような報告が入りましたので紹介させていただきます。

 

「密航者はギニア出身の19歳の男性でした。 おそらく彼はギニアの首都、コナクリで船に乗り込み、2か月以上乗船していたと考えられます。以前、他のEU加盟国から密航者を本国に送還しようとしたケースでは、船主がギニア大使館からコナクリへの渡航のための一時文書を入手したにもかかわらず、成功していないことがありました。

 

まずは船の到着前に、密航者を下船させて本国に送還する許可をイタリア当局に求めました。 しかしながら予想通り、コロナウイルスに伴う渡航制限、コナクリへの直行便が利用不可、密航者を管理、保護する人員の不足など、様々な要因により許可はおりませんでした。

 

次に、密航者がイタリアで国際的保護を受ける資格があるかどうかを検討しました。 国際的保護は、難民や、補助的な保護を受けるに相当する受益者のために、イタリアで認められている一連の基本的権利です。 1951年のジュネーブ諸条約の下では、難民のことを、人種、宗教、国籍、また特定な政治的意見を持つこと、あるいは特定な社会集団に属していることを理由に、母国から迫害される恐怖を持ち、保護を受けることができない人々と定義しています。

イタリアの裁判所では、ギニア国民を国際的保護の対象として認めるという判決が過去にいくつか出ています。その主な理由としては、ギニアは近年政治制度が正常化されてきているものの、人々の生活環境はいまだ不安定なままであり、政治的、社会的緊張、また民族的、宗教的緊張の高まりが個人へのリスクを深刻なものにしているのは否めないというものです。

しかし今回のケースの難しさは、既に船がイタリアの前に他の2つのEU加盟国に寄港していたことです。なぜならEUのダブリン規則の下で、原則として難民の庇護を求めるものは、最初に到着したEU加盟国で申請を行うことになっているからです。私たちは船主に国際的保護のオプションについて助言した上で、船長が密航者にこのオプションについて説明し、密航者はイタリアでの国際的保護の申請書を作成しました。

船が到着次第、船の代理人は密航者の国際的保護の申請を港湾警察と県に通知しました。私たちはローマのUNHCRに連絡し、現地の代表者に密航者を支援し、当局との連携のために私たちに協力するよう指示しました。 港湾警察の対応は非協力的でしたが、県の警察官が乗船して船長と密航者にインタビューをし、最終的には密航者を国際的保護が承認されるまでの間に滞在する庇護希望者用の受付センターに誘導しました。

船は入港の翌日、次の目的地に向けて無事出港することができました。

今回は前例のない難しいケースでしたが、結果的には国際的保護のオプションが解決に導きました。もちろん状況次第ではあるものの、本ケースは国際的保護が密航者問題を解決するための1つの有効な手段となりうることを示してくれています。」

本記事を提供していただいた、当クラブコレスポンデントStudio Legale Mordiglia所属のPaolo Manicaに感謝します。

尚、スティームシップは、密航者問題に関する記事を過去にいくつか発行しています。英文のままで恐縮ですが、以下リンクをご参照ください。

【SSM News】

Stowaways: What to do when it is already too late

Stowaways. Prevention Guidance

Measures for the prevention of stowaways

Dakar, Senegal. Port issues circular on stowaways

 

【Risk Alert】

 

※本記事の原文は以下リンクをご参照ください。

https://www.steamshipmutual.com/publications/Articles/stowaways-and-international-protection-in-italy022021.htm