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2021年の英国最高裁判所の判決:国際海上衝突予防規則における交差と狭水路規則の適用について

06 2021

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Alexandra1 c / w Ever Smart [2021] UKSC6

 

2015年2月11日、アラブ首長国連邦のジュベルアリ港沖で、タンカー「アレクサンドラ1」とコンテナ船「エバースマート」の間で深刻な衝​​突事故が発生しました。この衝突事故は、国際海上衝突予防規則(International Regulations for Preventing Collisions at Sea、以下「COLREGS」と略します)の交差(または横切り船)および狭水路に適用される規則について問いかけることとなりました。

 

これは、海事裁判における45年ぶりの英国最高裁判所の判決でした。衝突のリスクが存在するかどうかを判断する際に適用される要素と、COLREGSの交差規則の重要性について詳しく調べたものでした。

 

問題の本質は、狭い航路に沿って航行する船舶「エバースマート」と、それに近づいているもののまだ航路に入っていないもう一方の船舶「アレクサンドラ1」において、すでに接近状態が発生していることにありました。これは、衝突を回避するためのそれぞれの船舶の責任を決定するにあたって、交差(または横切り船)に適用される規則かまたは狭水路に適用される規則か、いずれの規則が優先されるかについて問いかけることとなりました。

 

最高裁判所は、その決定が乗組員にとって重要であることを認識し、詳細な論拠付けを行ったうえで、交差規則に優位性があると明確に判断しました。最高裁判所は、その重要性はCOLREGSの根幹であり、軽視してはならないと警告しています。

 

結論

 

最高裁判所は、COLREGSの全体的な規則の趣旨から、交差規則の重要性を改めて確認しました。

 

狭水路規則は、船舶が狭水路に入ろうとしていることがまさに明らかで、衝突を回避するために狭水路規則にすでに準拠している場合を除いて、交差規則に取って代わることはありません。

 

衝突のリスクが存在し、針路を保持している船舶が義務を順守しているかどうかを判断するうえで、その船舶が船首方向あるいは速度を維持しているかどうかを求めていません。その船舶が意図して航行していることは、他の船舶にはすぐにわかるからです。しかしながら、衝突のリスクが存在するかどうかを判断するための決定的で重要な方法は、接近してくる船舶の実際のコンパス方位を確認することです。

 

※本記事の英語原文(当クラブ ロンドンオフィスIan Freemanによる)は以下のリンクをご参照ください。

https://www.steamshipmutual.com/publications/Articles/smart-thinking042021.htm