船員交代問題の危機的状況 ー 解消の兆し?

07 2020

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英国政府、国際海事サミット (2020年7月9日)を主導

 

グローバル経済

船舶とその船員に世界が依存していた事実はコロナウイルス(「COVID-19」)のパンデミックによって特に鮮明となりました。海運が世界経済の心臓部であり、船員がその生命線であることがこれほど明白になったことはありません。

世界的には、ロックダウン制限は今月さらに緩和されました。多くの国では、パブやレストランに行ったり、休暇旅行に出かけたりすることも可能となってきています。しかし、世界中の船員は、彼らに極めて依存している多くの政府によってほとんど見過ごされてきたようです。

 

IMO 議定書

この状況は、国際海事機関(「IMO」)が5月5日に174の加盟国に向けて12段階の旅行安全プロトコールを発出し、それに続き5月7日に公表されたIMO 報告要旨の中で同議定書が改めて推奨されたにもかかわらず続いています。

この議定書は、国際航空運送協会(「IATA」)から提供された情報を考慮に入れながら、海上運送業の様々な部門を代表する、幅広く横断的な国際業界団体から寄せられた提案を反映しています。その目的は、契約期間を超えて数ヶ月にわたり勤務し続けていた一部の船員が上陸して帰宅し、そして交代要員の派遣が可能となるよう船員交代を再開させることです。

海事業界団体は、船員の声や関係する雇用主の声が確実に届くよう懸命に努力してきており、この重要な人道上の問題を議論するために、英国政府主導の船員交代問題国際海事サミットが、船員啓発週間(2020年7月6~12日)中の7月9日に開催されることにはとても勇気づけられます。会議ではIMOのキタック・リム事務総長による演説が含まれる予定で、「労働者を迅速に帰国させる国家の義務」を強調することが期待されています。

 

前向きなニュース

持続可能な解決に向けた前向きな動きは他にもあり、最大の船員供給国であるフィリピンは、7月2日に、COVID-19のパンデミックの間、安全かつ迅速な上陸及び乗組員の交代を含む船員のスピーディーで安全な移動を容易にする「グリーンレーン」を設定するためのガイドラインの概要を記載した合同通達を発表しました。これは、7月8日の国際航空便の再開とも重なっていると報じられています。しかし、マニラ首都圏を含むルソン島では現在も一般的コミュニティ隔離措置(「GCQ」)が実施されており、この措置は7月15日まで延長されたことから、公共交通機関の不足と国内航空便の制限という懸念が残ります。同様に、セブ島ではCOVID-19発症数の急増も報道され、セブ市は強化コミュニティ隔離措置(ECQ)の状態が維持されていることも懸念材料です。

スティームシップ・ミューチュアルのCOVID-19 専用ウェブページには、エジプト香港シンガポールおよび南米の最新情報を含む多くの管轄区域での船員交代に関する情報を掲載した国別リストがあります。

 

メンタルヘルスとウェルビーイング

近年、心の健康(メンタルヘルス)と身体的、精神的、そして社会的に幸福である状態(ウェルビーイング)への意識が高まり、海運業でも注目されています。船員たちがしばしば何ヶ月もの間自宅の愛する人々から何千マイルも離れた労働環境に置かれることで、精神的な回復力のレベルを高めてきたことは事実かもしれませんが、他の多くの産業にも当てはまるように、精神的な回復は正に我々の業界全体で探求されるべき懸案の焦点であり続けます。

このような前例のない時代において、多くの船員は、最初に契約された期間よりも最長で4ヶ月も長く、上陸許可もほとんど又は全くない状態で、船内で働き続けました。その結果として生じる疲労は、安全とゆるぎなく関連していることを考慮すれば重大な懸念事項です。

COVID-19が船員の自由に与えた影響に加え、船員らはこの世界的なパンデミックが家に残してきた愛する人々に与えたであろう影響を敏感に意識しているという現実も存在します。

スティームシップ・ミューチュアルは、国際船員福利厚生支援ネットワーク(「ISWAN」)が行う活動を支援しており、以下に、彼らが作成する情報への有用なリンクを挙げます。これらの情報は、スティームシップのCOVID-19 専用ウェブページ上から閲覧でき、ビデオやFAQも含まれています。

 

 

スティームシップ・ミューチュアルは、マリンメディアエンタープライズ制作によるコロナウイルス対策動画4本をリリースしています。

コロンビア・シップマネジメントおよびISWANの支援を得て制作。字幕付きの言語版は、中国語韓国語ブラジル・ポルトガル語タガログ語で提供されています。

 

コロンビア・シップマネジメント、ペトロナフ・シップマネジメント、ISWANの支援を得て制作。字幕付きの言語版は、ブラジル・ポルトガル語中国語韓国語およびタガログ語で提供されています。

 

コロンビア・シップマネジメント、ペトロナフ・シップマネジメント、国際海運会議所、MCTCマリンおよびシーワールドマネジメントの支援を得て制作されました。

 

新規リリース - 「コロナウイルス-乗組員の交代-Crew Change」

本動画では、コロナ渦において船員が本船に乗船する前から下船した後までに必要な手順をお伝えしており、同手続きを安全に行った上でウイルス感染対策を適切に行っていただくことを目的としております。

こちらはコロンビア・シップマネジメント、キプロス港湾局、キプロス海運会議所、アングロイースタン・シップマネジメント、レイバーシッピング、シンガポール海運協会、ベハンハルト・シュルテ・シップマネジメント、ペトロナフ・シップマネジメント、国際海運会議所、国際海事研究所、MCTCマリン、シーワールドマネジメントおよびスティームシップ・ミューチュアルの支援を得て、マリンメディアエンタープライズによって作成されました。

 

解消の兆し?

英国政府が船員交代へのCOVID-19の影響に関する第1回国際海事サミットを船員啓発週間中に開催するとの発表が国際船員デーに行われました。我々の世界経済の生命線である船員に、その過酷な労働に値する休息と愛する人々との時間が確実に与えられるよう、サミットの開催によって5月5日にIMOが発出した議定書を、より多くのIMO加盟国が迅速に採択するといった前向きなニュースがもたらされることが期待されています。